Vol.2 クルメでカコメ~囲んで生まれるほどよき時間~

読者諸氏は「囲」という言葉に如何なる印象をお持ちでしょうか。「電話についてたけど押す機会が無かった」という方は、固定電話の#ボタンが心に残る昭和びと。本日のラッキーアイテムは「鉄骨飲料」です。余談はさておき「囲」という文字には、①ものを中にまわりに連なる。②柵などで空間を区切る。といった意味があるそうです。安心感が保たれる空間に人々が集う。そんな場ではどんな時間が生まれているのでしょうか。今回はボードゲームを囲む場を作る青年が主人公です。
ズシリと重いリュックを開くと・・・
“みんな集まれ!!” 待ちわびた子どもが、ホワイトボードにその言葉を大きく書きました。会場の施設には、すでに数組の親子が集まっています。「みかづきさんだ!」子ども達の視線の先に、ズシリと重そうなウーバーバッグを背負う青年が現れました。飲食NGを掲げる施設職員の目がギラリ光ります。「みかづきさん」は、机にバッグを置くと、一つずつ丁寧に箱を取り出しました。箱の中身は肉汁あふれる唐揚げ弁当・・・ではなくボードゲーム!なんと20種類以上が並びました。さぁ!ボードゲーム会の始まりです!

ボードゲームの「良さ」を伝えたい
2022年以来、約60回開かれている「久留米・鳥栖地区ボードゲーム会」。主催するのは“みかづきさん”こと三浦一樹さん。純粋にボードゲームを楽しむ場を開く一方で「ミナミナこどもきち」や「ゆるっぽ」といった、子どもの学び・遊びの場を作る市民団体と一緒に、ボードゲームで遊ぶイベントを開いています。
「最初はボードゲーム好きな人達を対象としたボードゲーム会を開いていましたが、ボードゲーム愛好者は福岡市周辺に集中しているので、参加者が増えなかったんです。でも辞めたくないと思い、他の会との差別化を考えました。初心を思い出して、子ども達や親子にボードゲームの『良さ』を感じてもらおうと思いました」

対等に遊んでもらえる嬉しさ
みかづきさんが伝えたい「良さ」は、ご自身の切実な体験から生まれたものだそうです。「ちょっと暗い話なんですが、昔いじめにあって性格が捻じ曲がっちゃってたんです。もう今は違うんですが(笑)、以前は人に対する憎しみが半端ではなかったんです。そんな中、私自身がボードゲームで遊ぶ場に出会い、少しずつ変わる事ができました。純粋にボードゲームが面白かったし、対戦相手が対等に遊んでくれる事、普通に接してくれる事がとても嬉しかったんです。」抱えていた生きづらさが軽くなるきっかけとなった場を、今度は自分が作りたい。そんな思いが会を続ける原動力となりました。
「ボードゲームの魅力は、子どもから大人まで色んな世代が楽しく交流できる事だと思っています。人によって『合う・合わない』がありますが、そういう点が結果を左右したりもします。でも不思議なことに、久留米の会では結果が原因で参加者同士がケンカになることはありませんね。人に恵まれているんだと思います。」親子連れの参加者がメインですが、時には60代の参加者もいるそうで、多世代交流の機会にもつながっているようです。「初参加の方から『面白かった』と言ってもらえたり、『あのゲーム買いましたよ』と言ってもらえると、嬉しいし、やり甲斐を感じますね。」保護者からは「デジタル漬けなので、アナログのゲームにふれる機会になって良かった」と喜ばれる事も多いそうです。

安心感ある「遊びの居場所」をつくりたい
「たまに、子どもが遊ぶ声に、お年寄りがうるさいと苦情を言うようなニュースを見るじゃないですか。今、子ども達の遊び場所が減っているんじゃないかと思います。そういう中で、同じ志を持つ仲間を増やしつつ、誰もが安心して参加できる『遊び場の居場所づくり』も目指していきたいなと思います。子ども達だけではなく、中高生にもボードゲームを広めて行きたいですね。」と意気込みを話すみかづきさん。ボードゲームを囲んで生まれるほどよき時間と関係性は、ますます広がっていくようです。

記事:福々亭金太郎/チーム「くるめウス」
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